怒涛の出国劇


       僕はいつも海外旅行には小さなアーミーナイフを持っていきます。
アーミーナイフといっても、万能ナイフみたいなもので5,6cm
のものです。このナイフは、旅先で果物を切ったりなにかと便利です。

      こんなん

 はじめてインドにいったときから毎回持って行っていて、御守り
のような存在でもあります。かなり小型なので機内持込も楽勝でした。

しかし、今回はこのナイフのおかげでかなりドタバタでした。

 まずドタバタの要因となったのは、出発前日の大雪でした。
この大雪のために出発前日の千歳空港発着便の4割が欠航になって
いました。そして出発の日。前日の雪の影響で僕の乗るはずの
朝一の千歳発ー関空行きの飛行機も軽く30分くらい遅れました。

ちなみに今回のカンボジアへは、全日空を利用して
12/28 7:50千歳発ー10:00関空着
    10:50関空発ー15:50バンコク着
ここからバンコクエアウェイズを利用して
    18:00バンコク発ー19:00シェムリアップ(アンコール)着

というもので、札幌を出たその日にアンコールに着くという
素晴らしいものでした。

これもそれも関空が出来て、乗換え時間が50分でも可能だからです。

しかしこの日は、いきなり千歳発の飛行機が30分も遅れてしまい
ました。これでは関空での乗換え時間が20分しかありません。

国内線どうしなら可能かもしれませんが、国際線への乗り継ぎとなる
と出国審査などいろいろあってかなり大変です。

しかし一応同じ飛行機会社の乗り継ぎなのでそこら辺は、配慮して
くれているようで、飛行機では前方の方の席を取ってくれていて
すぐに機外に出られるようになっていましたし、関空についたとき
に出口に係員がいて点呼をとって乗り継ぎへの手順などを教えてく
れました。

普通の人は、荷物を預けていても同じ航空会社なので自動的に
荷物はバンコクまで乗せかえられて行くので、体ひとつでバンコク
行きの飛行機に乗れば良いわけです。

僕の場合は、バックパックだけなので預けていないので本当なら
20分しかないので厳しいかもしれませんが、多少の余裕はあった
はずでした。

しかし、この日は違いました・・・

朝、千歳空港の手荷物検査をするところで、例のスイスアーミー
引っ掛かってしまいました。

今までは、一応係員がカバンから出してチェックをするのですが
とても小さいものなので

係「これ、機内で使わないでくださいねー」
や「ほーい」

というやりとりで済んでいたのですが
なんでも10月から規則が替わって、どんなナイフでも機内持込が
だめ
になったらしいんです。
そして僕のかわいいらしいナイフは、関空のカウンターで返しま
す取り上げられてしまいました・・・

しかし、これは行く先々でやっかいです。
バンコクの空港では、一回入国しないで、国際線乗り継ぎをしようと
思っていたので、もし関空でも取り上げられてしまったら
一回入国しないと、カウンターにいけないので
僕のナイフは取り戻せないのです。

そうするとバンコク滞在2時間くらいなのに、バンコクの空港利用
税500B(1500円くらい)を払わなければいけなくなります。

こいつは最悪です。

てなわけでこれは困ったなーと思っていました。
そして関空ついて、他の乗り継ぎ客がスイスイと国際線へ行くのを
尻目に危険物お返しカウンターみたいなところで待たされてしまい
ました・・・

そして一番前の席にいたのにも関わらず、他のお客さんもぞろぞろ
と出てきてしまい、そして僕の横をすり抜けて行きます。

10分以上待ったでしょうか?やっとナイフを受け取ることができ
ました。

この時点で、バンコク行きの出発時間まで10分もないくらいでした。
ここから猛ダッシュがはじまりました。
しかしここで第一のトラブルが!

同行のたぷえもんが、会社の人に年賀状を札幌駅で出そうと思ってい
たのを忘れていて、関空まで持ってきてしまっていたので

「ここで出す」

と言い出しました。
そこで、時間がないのに、関空内の郵便局まで猛ダッシュをしました。

そして取って返して、4階の国際線カウンターへ。
そしてあのにっくき手荷物検査所まで来ました。
その時!!
館内放送で

「バンコクへご出発のヤマシターシュサクサマー
 ヤマシターシュサクサマー。間もなくご出発となっております。
 居られましたら、お近くの全日空職員まで大至急お知らせください。」


と放送が入ったのです。
大変です。ここで置いていかれたら、バンコクの空港で集合予定の
僕の両親はどうしたらいいのでしょうか?

そんなわけで、焦りまくりでした。
今回も軽く手荷物検査で、アーミーナイフのことで捕まりましたが

や「時間がないんです!!今放送入ってヤバイんです!」

と顔面汗ぐっしょりで、必死に訴えたら、その凄みに負けたのか
許してくれて、ナイフを預けさせられることなく済みました。

これで、バンコクで一回入国しなくてよくなりました。そして
必死の形相で出国審査のところまで爆走していきました。

するとそこに全日空の職員が!!

僕は、その職員に呼び出しをくらっていることを告げました。
しかしその時に、職員を呼び止めた右手には、先ほどの荷物検査
の時に取り出したナイフがちゃっかり握られていたのでした。

職員は、これに気がついたようでした。
ここでまた預かりになったらたまらん と思った僕は先制攻撃を
加えました。

や「このナイフを預けさせられたおかげで、こんなに遅れて
  しまったんですよ。ほんと困るんですよねー」


こういいながら僕は、出国用紙に急いで必要事項を書いていまし
た。職員は、僕からナイフを取り上げると何処かへ無線連絡して
います。この時点で、出発時間は過ぎていました・・・

そんなわけだったので職員もちょっと慌て気味でした。
無線の先は、飛行機の搭乗カウンターかどこかでしょう。
そして必死に書いている僕の横で、その職員は僕以上に必死に
なっていました。

職員「ナイフですが、小さくてキーホルダーみたいなものです」
無線先「*******(何いってるか僕には聞こえない)」

職員「大丈夫です。本当に小さくておもちゃみたいなものです。」
無線先「******」

職員「ほんとおもちゃですこれ。おもちゃです!!」

と軽くうそまでついてくれていました。ここでまた預けるとか
なると手間もかかりますし第一、時間がかかって出発がさらに
遅れます・・・

ですから職員も
ナイフをキーホルダーに、それでもだめでおもちゃに仕立てあげた
のでしょう。必死に無線と格闘している職員が印象的でした。

そして出国用紙を書き終えて横を見ると、問題児たぷえもんが
出国用紙を書いていましたが、

た「あれ!?ここなんて書くの?」

と言ってきました。紙をよくみるとたぷえもんは

         外国人用

   こんなん

の紙に僕よりも職員よりも必死な形相で殴り書きしていたのです・・・

時間がないのに、日本人用に書き直しをする羽目になりました。
職員も早くしろや!!!てな感じで、ちょっと切れ気味です。

やっとのことで出国審査を済ませ、搭乗カウンターへ向かったの
ですが、関空は国際線はなにやらモノレールみたいなものに
乗ってカウンターまでいくのですが
Bダッシュ(*1)までしてモノレール
乗り場までいったのですが、ドリフのコント並に目の前で
行かれてしまい
、またもや時間を浪費・・・

Bダッシュしてジャンプ!  自動なので待ってくれない・・・
懸命にBダッシュするも自動のモノレールは非情にも目の前で誰も乗せずに発進していった...


すべての事象が裏目裏目に転がって行ってしまいます・・・

ホウホウの態で搭乗カウンターに着いたときは、まるで半年の
放浪の旅から帰国した
ようなナリになっていました。

そんなボロボロな僕らが、乗ると当時にドアが閉められ
席に着くと同時に飛行機は動き出して、見事離陸していった
のでした。

海外旅行は結構していますが、こんなにドタバタの出発は初めて
でした。出国前からこんなドタバタだったので、この先がとても
不安でしたが、それが見事的中してしまいました。

(*1)ファミコンのゲームのスーパーマリオの中でマリオがダッシュするときに
  Bボタンを押すので、通称Bダッシュ。