エジプトといえば (01/7/19)


       ピラミッド
誰もがしっているこの巨大建造物をどうしても見てみたくて、
僕は急ぎに急いでエジプトはカイロまでやってきました。
(って全くもってどういうルートで旅しているか
 わからないと思いますが・・・)

そして、夜行バスでつくなり休憩もソコソコにギザにある
ピラミッドを見に行きました。ギザはカイロの隣の市で、
バスで30分くらいでいけます。バスでピラミッドの近く
まで行ったのですが、想像としていたのとは違い、
かなりの街中にありました。

ちかくにはケンタッキーフライドチキンなんてものも
見えちゃいます・・・

さてさて、そんなことはさておきピラミッドへ。
いざ、近くまで来てみると・・・
正直想像の範囲内で「大感動!!」って感じではなかったです。

僕の想像が激しかったのかもしれませんが、ヨルダンのぺトラ
イランのアルゲバムなどに比べると見劣りがしたような気が
しました。

しかし砂漠の中にたたずんで、悠久の流れを見つめてきた
ピラミッド群をみていると、僕の頭の中にはある思いが・・・

のぼってみてー・・・


「の、のぼってみてー・・・」



これはいけません。

ピラミッドは、世界遺産です。
しかも登ることは禁止されてます。
ですから、僕も泣く泣く諦めて、ホテルへ戻りました。

そして夜。僕の中に芽生えた思いは、立ち消えるどころか
ゴジラの吹く業火の如く燃えたぎっていました。
しかし、繰り返しますが
ピラミッドには絶対登ってはいけません

と、思えば思うほどゴジラは火を吹きまくります。
しかし登ってはいけないのです!!

・・・皆が寝静まった丑三つ時・・・

僕は、いけないと知りつつも、
同じ炎に炙られた仲間6名を召集し
一路、ピラミッドへ向かうタクシーを拾っていました・・・

ほどなくタクシーがつかまり、6名は無理して一台へ。
そして出発!!

しかし出発したと思った瞬間にガコンッ!と音がして
タクシーは止まってしまいました。しかも傾いてます。

外に出ると、タイヤがパンクしてました。移動距離は5m。
なんとも不吉なスタートです・・・

気を取り直し、他のタクシーを捕まえて、いざギザへ!
この時点では、いけないことという意識が貿易風に乗って
飛んでイスタンブ〜ル♪くらいにいってしまっていました。

さて、ピラミッド近くへ到着。人から聞いた警備員を掻い潜る
裏ルートへと歩を進めました。

しかし、ここら辺が詰の甘いところで、その裏ルートを全く
もって下見をしていなかったので、即効迷ってしまいました。

大体こっちだろうと思って入った空き地みたいなところでは
意外な奴らが僕らを歓迎してくれていました。

それは、野良犬君たちです。普段なら、手懐けているところで
すが、今回のわんこたちは言うことを聞いてくれません

ワンワンバウバウ吠えまくりです。これでは近所の人々に
大迷惑です。っていうか僕らの身に危険が迫り狂ってます。
迫り来るわんこたち。逃げる馬鹿6名。
吠えまくり追いかけてくるわんこから身を守るべく
僕らは目の前の壁を乗り越えました!

さすがにわんこも2mほどの壁は越えられず、悔しそうに
キャンキャンないてます。

いやいや一安心。

気を取り直して改めてルート設定をしようと
すると、ちょいと向こうで今度は人間が怒鳴っています

なんでしょう。取り敢えず、怖いので早歩きで明るいほうへ
向かいました。

迫り来るエジプト人再び逃げる馬鹿野郎ども
しかしこのエジプト人が、僕らの前に立ちはだかる違う
エジプト人へ何か声をかけたので、僕らはエジプト人に
サンドイッチされてしまい<、四方八方を塞がれてしまいました。

そしてその後、増える増えるエジプト人。
その増殖っぷりは、まるで
コンビニの害虫灯に群がる虫のようです。

こうして取り囲まれ逃げ道のなくなってしまった僕らですが
別に悪いことはしていません。ピラミッドに登ったわけでもなく
ただ、野犬に追われて壁を乗り越えただけです。

なのになんでこんなに取り囲まれてるのでしょうか?

ふとみると、僕らのいる前の建物にはパトカーが30台くらい
止っています。どうやら警察署のようです。

ということは僕らは警察官に囲まれているということに
なります。でも悪いことしていないので開き直っていました。

すると目の前で、エジプト人同士がなにやら協議をはじめて
いるのです。

一体何の協議なのでしょうか?警察ならさっさと僕らを帰して
くれればいいものを・・・。かなり我侭な考えをしていました。

「一体なにを話しているんだ?」
「俺らは道に迷っただけだ!」


などと言っても、ほとんど英語が通じないので

「まぁ待て」

の連発。ちなみにエジプト人は
「待て」を「One Minute (ワン ミニット)」
と言いますが、一分で済んだ試しは一回もありません。
今回もワンミニットを50回くらい連発されました。

全く何を協議してるのかわかりませんが逃げることが
できません。やっと聞き出させたことは

「今キャプテンが来るからお前らの処分は
 キャプテンが決める。」


と言う事でした。なにやらまずい展開です。

しかもキャプテンは家で寝ているとのことで
わざわざ呼びにいったみたいです。

そしてしばらーくしてキャプテンが登場!
彼なら話が通じるかもしれないと淡い期待を抱いたの
ですが・・・

登場したキャプテンはパジャマ姿で超眠そうです・・・
しかも僕らの話は一切聞いてくれず、最初に追いかけてきた
エジプト人の話だけを聞いて

「お前らは最初軍事施設に侵入したから、軍隊に預ける」

と面倒臭そうに言い放ってさくっと帰宅してしまったのでした・・・

そうです。僕らが壁を乗り越えたところは、なんと
軍事施設だったのです。

そいつはちょっとした大問題です・・・

てなわけで僕らは、軍隊の人に引き取られて元来た道を
戻ったのでした。

さてさて今度は軍事施設の前で拘束されてしまいました。
取り敢えず持っていたカメラはフィルムを調べると
言われ没収されました。
僕は、こんなこともあろうかと使い捨てカメラをもって
いたのですが、それも没収されてしまいました。

そしてそのカメラをもった一番偉そうな人は、奥の建物へ
と消えていったのでした。

残された馬鹿6名と軍隊の下士官達・・・

はっきり言ってお互いやることがなくて
手持ち無沙汰です。

こちらは向こうの出方を待つしかありませんし
向こうは上官がカメラチェックをしている間
僕らを見張っているだけです。

そんな暇な僕達は次第に打ち解けだし、お互いの
つたない英語でくだらない冗談などを言い合い
かなり盛り上がってきていました。

しかしこの時期(3月)のエジプトの夜は
結構寒くて、ブルブル震えていました。

すると彼らは、
「寒いならこの車の中で待ってていいよ」
と、彼らの軍用車とは思えないほどぼろぼろの
車に乗せてくれて、待たせてくれたのでした。

これは快適です。しばらく車の中でのんびりして
いました。これでは僕らは一体なんでここに留まって
いるのかわからなくなってきます


しばらく車の中で体を温めていたら、暇になってきた
ので、外に出て彼らと遊ぶことにしました。

すると彼らは、

「寒いから、焚き火をしてあげる」

と言ってそこらに落ちている木の枝を集め出したのです。

あぁなんて良い人たちなのでしょ。

そして、十分な量の焚き木が集まりました。
すると彼らは、どっから持ってきたのかホースを使って
車の燃料タンクから口でガソリンを吸って、焚き木に
吹きかけたのです・・・

そして次の瞬間!!

ライターを手に持ち、口に溜めていたガソリンを噴き出し

まさにゴジラの如く火を吹いたのでした!

これで一気に焚き木にも火がつき焚き火完了です。
もう僕らは大喜びです。

すると彼は調子にのって、何回もガソリンを吸ってきては
ファイヤーショーを繰り返して僕らを喜ばせてくれたのでした。

一体僕らは夜中にエジプト軍の施設の前で拘束されて
何をしているのでしょうか・・・

ちなみに彼は、あまりにも火を吹きすぎて、ちょっとえらい
感じの上官に やりすぎだ! と怒られションボリしてました。
あぁなんて良い人たちなんでしょう。

そんなこんなで、4時間以上が過ぎたでしょうか。
しかしカメラを持って行った上官が帰ってきません。
やっと戻ってきたと思ったら僕の使い捨てカメラを持って

「ちょっと聞いて良いか?このカメラからフィルムを
 取り出したいのだが・・・」

と言いました。

確かに、出し方はわかりません。しかしこれが分からない
ために、3時間以上も粘るとは・・・

で、僕も分からないので、
「壊さないと開けられないから、この場で壊すわ」
というと
「駄目だ!とんでもない。そんなことされたら困る
 フィルムだけくれ」

と恐縮しているのです。
「フィルムを出すには壊さないと無理」
と言うのですが理解してくれません。
「じゃあ、あげるよ」
と言うと
「いやいや。駄目だよ。そんなことしなくていいよ」
とかなりの低姿勢です。
もう埒があかないので目の前で全部フィルムを使いきり
手渡したのですが
「申し訳ないことをした。許してくれ。
 そして帰って良いよ。気をつけてな」

と言って僕らを釈放してくれたのです。

そんなこんなで僕らは、楽しく優しく拘束生活を過ごし
ファイヤーダンスショー 出演:エジプト軍
を堪能して無事ホテルに戻ってきたのでした。

かなり楽しく過ごしたのですが、ピラミッドに辿りつくことすらできず
エジプトといえば、ファイヤーショーということになってしまっている
僕の心の炎は未だ鎮火されていないのでした。

つづく。

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