NAKATAと夕陽 序(01/8/25)


        インドネシア行きの2日前。僕は兵庫で行われる
アメリカンカーフェスタなるイベントに仕事でいくことになっていました。
僕の仕事は、東京からアメリカ車を借りて行って、その車で、ゼロヨン
出場することでした。ちなみにゼロヨンとは、
直線400mを如何に早く走るかというレースです。

さてさて、兵庫行きの数日前に、関西の先輩より指令がきました。

「その地味な頭をアメリカっぽくしてくるように」

というわけで、その指令を真に受けた僕は、関西に出発する3時間前に
1000円で切ってくれる床屋さんに行きました。

すると、店員さんが妙なアクセントで

「イラッシャイマ〜セーィ」

と言うのです。見るとかなーり濃い顔をした中東系と思われる外人さん
でした。コスト削減の一環なのでしょうか?
というわけで、ちょっと躊躇してしまった私ですが3時間後には
髪をアメ車風?にして出発しなければならないので、不可抗力的選択により
切ってもらうことに決めました。

「ドウイウフウニスルゥ?」

と言われ、多分細かく説明しても分からないだろうと思い、たまたま
持っていた『Number』に出ていた中田をさして、

「こんな感じで」

と伝えました。別に中田の真似をするつもりは毛頭ありませんでした。
しかし状況が状況なので、下手に説明が間違って解釈され、変な髪に
されるのは困ります。
だからビジュアルで見せれば間違いないだろうと思ったのです。

そして彼は、ガッテン承知とばかりに切り出しました。
すると彼は、
「もみ上げはどうするぅ?」などなど結構ちゃんとしているのです。

というわけで、やや安心して切ってもらったのですが、彼が完成したと
思って、僕に

「こんなんで良い?」

と見せた髪形は、『Number』の中田ではなく、
トラック野郎の菅原文太でした・・・
結局単なる角刈りに落ち着いてしまったのです。
中田になろうとしていなかったものの、角刈りは如何なものかと思うが
これ以上なにか注文つけたら織田無道になる可能性もあったので

「OK!」

と告げて店を逃げるように後にしたのでした。
さてさて、アメ車風イメージになる予定だった髪形は、
国産ダンプ風の現実を突き詰められてしまいました。
これは大問題です。
そこで、僕は、店の向かいにあったドラッグストアに駈け込み、
ブリーチを購入しました。

髪を金髪にすることで、なんとか純和風トラックの運ちゃんから
せめても、似非アメリカ風(デーブスペクター風)になろうとしたのです。
そして急いで家に帰り、ブリーチをしてみました。
が、案の定、失敗し側頭部だけ金髪になり、前髪から頭頂部〜後頭部まで
全然色が抜けていなく、逆モヒカンのようでした・・・

そこで再度やりなおしたら、多少は、ましになりましたが後頭部だけ
黒いまま直りませんでした。

この時点でアメリカンな雰囲気は微塵もなく
中田でも文太でもなく、毛色の悪いオランウータンになっていました。

もう人間に例えられません・・・

しかしもう一回やっている時間はありません。
ということで、僕は非常に変なまだら模様の髪を引っさげて
関西へと出発したのでした。

渋滞に巻きこまれ10時間で到着。そのまま準備してレースへ。
しかしこのレース、皆このために改造してきたりしているなかで
僕の借りてきた車はファミリーカーのノーマル車
まじで遅そうです。他の人達が車の出場名を
「ワイルドデビル」など速そうな名前を付けているなか
僕の車は、あまりに遅そうだったので、車の登録名を
『生まれたての子馬』

と名づけたのした。そしてレースは案の定、最下位でした。
髪も順位も最低な結果となってしまいました・・・

さて無事?仕事を終えて帰京。
そして、即座にインドネシアに向けて出発したのでした。

というわけで、どこがインドネシアの話なんだろうと思われる
でしょうが、次回への前振りとしてこの髪切りがポイントとなる
ので(多分)長い長い前振りを振らせて頂きました。


続く